幕引きの会 店主挨拶
 石澤マダムと常連客
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皆様、今晩は。
今日はワインケラーサワの最後の乾杯にお出掛け下さいまして、本当にありがとうございます。こんなにも多くの方々に支えていただきましたこと、しみじみ
ありがたく感謝致しております。
1976年10月1日にオープンして以来、満30年が過ぎました。長い様ですが、私にとってはあっという間で何も出来ず、中途半端な気持ちです。
この店を作ろうと思ったきっかけをお話しますと、今から34、5年前にヨーロッパに初めて旅行をした時のことです。全てがまるで違う風景と人々と、その
調和、窓辺を飾っている美しい花々、道を歩く人と人とがすれ違う時の軽い挨拶などなど、見るもの聞くものすべてにカルチャーショックを受け、「あぁ、私は
ダメだ…何か間違っている」と気が付き、人生やり直しを思い立ったのです。その時の旅行は、サントリーさんのワインツアーでした。仲間に入れていただけた
のが幸いして「ワインとは何だろう?」と思い、私の人生はワインがテーマとなりました。フランス、ドイツが中心でした。
フランスでのワインの飲み方は、まるで飲食のファッションの様に、入口にはシャンパンが用意され、次はオードブルに囲まれて、白ワインが並び、また次は
ローストビーフの横には赤ワインが置かれていてという具合に・・・。お部屋のシャンデリアは、シャンパンのシャンパン瓶で作られていて、いたるところワイ
ンに関係のある裝飾にビックリ! ビックリ! ばかりでした。
それからドイツに行きました。ファルケンベルクのリープフラウミルヒの里です。こちらの蔵では、地下蔵のワイン樽の並び、ひんやりと薄暗い空間が香りいっ
ぱいの中、蝋燭の明かりで1、2、3種のワインを一つ一つ説明をつけて飲ませてくれるのです。色をみて、香りを利いて、口にふくみ、空気を入れて口いっぱ
いで味わう利き方を習いました。飲んでいるうちに、だんだん昔へ昔へと古代に引き込まれて行く様な感じを受け、これがドイツワインを好きになったひとつの
きっかけでした。それからというもの、毎年一ヶ月の時間を取り、ドイツへと通うようになりました。2年後、ホテルオークラの桑山様の主催するジャパンワイ
ンソサエティーという会ができ入会をさせていただくことになって、偶然にも、日本に於けるドイツワインの御先祖様のような古賀守先生とテーブルが一緒にな
り、幸いなことに弟子となることができました。1975年にドイツワインアカデミーのあることを知らされ、一番で申し込んだ記憶があります。
このワインアカデミーの講義の中で、ドイツ人の健康とワインという時間があり、ドイツワインの世界に於ける特徴
気候風土の生み出すどこにもない唯一のワインだということ。特に酸味の豊かさは、体内の殺菌をする意味でも重要なものであることなどを化学
様式を書き綴って習いました。ふと気がついたことは、日本人の体質は水性質により造られた体力のはず、アルコール度数の低さとカロ
リーの軽さを持ち、北国の故に南の国より一ヶ月も遅く実りを持たなくてはいけない運命にあることを幸して豊福なミネラル分を含んでいること。こ
こで日本人の体質の相性を発見。どれを飲んでも自然に美味しいと流れて行くのはここに理由があるのだと気がつき、「さあ、日本に帰ったらドイ
ツワインと日本人の体質の相性をテーマとして、これを紹介しなければと思い立ちました。
帰途、飛行機の中で古賀先生にこの発見と構想をお伝えしたところ、しわがれた声で「君は面白いことを言うな、応援するよ」とおっしゃって下さいました。
それから店探しと資金づくりが始まり、運良く、銀座の建ち上がったばかりのビルのこの場所が見つかりました。資金は又も、古賀先生から、先生の御親戚筋に
あたる佐世保の中村弘海先生(当時、バリバリの自民党国会議員でいらっしゃいました。又、ワイン大好きの先生で、国会でも有名でした)に、この店舖の構想
をお話していただき、田舍の森林を抵当に国民金融公庫からの融資を受けることが出来ました。こうして、この店が誕生致しました。
幾重にも御礼を申し上げねばならず、また皆様にも、御理解をいただきたいことですが、こうして30年の間、歩んでこられましたのも古賀先生はじめ、国会
議員であられた中村弘海先生、そしてワインを提供してくださいました輸入会社の方々、元ドイツ大使館のDr.Schmauz先生、ドイツ文化については誰
よりもの・・・後藤様、今日ここにおいでいただきました皆様、又おいでいただけなかった方々のおかげです。当店を愛してくださった限りなく多くの方々に支
えられましたこと、私の生涯の宝であり、自慢とさせていただきます。
永い間、ありがとうございました。今後の事につきましては後ほど又、お話をさせていただきたいと思います。
今日の料理はオープン当時から10数年に渡り、助けをいただいた河野シェフを迎えて、当時の味の再現をしていただきました。どうぞ存分にワインと料理を
お楽しみ下さいませ。
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2005年10月12日 石澤壽惠子
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