ヨタハチ特集　トヨタスポーツ８００取材記　　文／ブラックストーン 　次にルーフを外していただいて撮影を行う。いわゆるタルガトップである。ルーフはトランクに収納できるようになっている。 　このヨタハチはフェンダーのサイドにシグナルランプがついているので、１９６９年式と簡単に識別できる。２１５台しか生産されていない貴重なタイプである。 　それを調べるために、我々はエンジンルームもチェックする事にした。車体番号を確認すれば確実だからだ。 　フロントをあけると、最近の車と違い、コンパクトな２Ｕエンジンのせいもあって、かなり余裕のある空間になっている。そのなかで二つのキャブレターにつながるエアクリーナーと、横に置いた円筒形の形をしている因縁の燃焼式ヒーターが目立っている。 　では早速車体番号の確認だ、そして我々はそこで驚くべきものを発見したのだ！ 　このヨタハチの車体番号は、ＵＰ１５-１３０７９であり、１９６９年型に間違いはなかった、そして、皆さんはこの番号に記憶はないだろうか？ そう、ゲートキーパーズで浮矢が使用していた車体と同番号なのである。 つまりこれは、かつてイージスで使用されていた車体だったのだ！ 　それが３０年の歳月を経て、山口氏の手にわたったわけである。なんという奇しき因縁であろうか！「世の中には人智を超えた何かがある」と感動しつつ、我々は航空公園を後にしたのであった。 參考文獻 ・「懐かしの高性能車 I」中沖　満　グランプリ出版 ・「１９６０｀Ｓ　日本の名車たち」横越光広　グランプリ出版 ・「マン・マシンの昭和伝説〈上・下〉」前間孝則　講談社 ・「日本軍用機写真総集」雑誌「丸」編集部　光人社 ・「トヨタ２０００ＧＴ／スポーツ８００〜トヨタの２台のスポーツカー」ネコ・パブリッシング刊